資源の採取や製造、流通費用などは一時的に生産者・販売者が負担しますが、最終的には商品価格として消費者が負担することになります。使用時の費用、例えば冷蔵庫の電気代など消費者が負担することが当然です。ところが不要になった包装材が家庭から「ごみ」として出され、その処分費用は誰も負担していないように見えます。
 しかし家庭から出されたごみは、行政が回収・保管し、その処分費用を支払っています。私たちの税金で処理されているにもかかわらず、認識されにくく、減量の対象になりにくいのです。この見えにくさが、リターナブルを駆逐し、優先順位の最後であるべきリサイクルのみが優先される構造をつくりだしてきました。
 大気汚染物質の除去費用やごみ処理費用など、いわゆる社会的コストを商品価格に含めることにより、「使い捨ては高い」が常識になり、リターナブル容器の環境負荷の少なさ、廃棄物の減量化にとっての有効性が、「市場原理」の中で発揮できるようになります。ごみを税金で処理することを、そろそろ止めにしましょう。
 

 仮定の話ですが、EPRが徹底されて、自治体の回収コストなどが全て商品価格に内部化されたとしましょう。すると、ガラス容器については、ワンウエイガラス容器は16円程度の値上げとなり、リターナブル容器の価格優位性が生まれます。
 しかし、PETボトルや缶、紙パックについてはどうでしょうか。PETでは、7円程度の値上げ、缶や紙パックでは2円程度の値上げとなります。この程度の値上げでは、リターナブル容器の回収費用の方が高く、経済的な優位性が生まれません。
 そこで環境保全の目的から、リユースを優先させることが環境保全からふさわしい製品種類を指定し、容器製造時課徴金を課し、リターナブル容器の普及を行う必要があります。現状では、牛乳、ビール、清涼飲料、食酢などがリターナブル容器が普及することが環境負荷削減からふさわしいと考えられます。
 経済的にリユース容器が不利な場合、容器に課徴金をかけ、リターナブル容器の経済的な不利益を解消し、リターナブル容器の普及を促進することが良いといえます。
 例えば、500mlのビールびんのリユースに伴う費用が1本20円と仮定し、アルミ缶の製造コストが10円、そして回収から再資源費用は1本3円程度と仮定すると、アルミ缶が安い容器であるため、リターナブルびんが普及しません。そこでビール500ml当たりに10円の課徴金をかけます。リターナブル容器を20回使用とすると、1回当りの課徴金は10円÷20回=0.5円です。トータルでリターナブル容器代金は20.5円、アルミ缶の代金は23円となり、リターナブル容器の割安感が生まれ普及促進となります。

 



 

 PETボトルの回収率は34.5%、紙パックは25%と、低い状態です。これらのリサイクル回収率の悪い容器にはデポジット(預り金)を上乗せし販売し、自主回収を確実に行うようにしましょう。

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