まず、拡大生産者責任に基づき、容器包装廃棄後のすべての処理費用は事業者の責任であると位置付け、市町村の費用負担を軽減します。即ち、再商品化費用(法第11条)の一部だけでなく、行政の行う回収、分別、保管等の費用についても事業者の負担とすることにより、容器包装の減量化(法第4条)、リサイクルのための分別処理の容易化、更には市町村の分別収集の促進(法第6条)を図ります。
 次に、事業者の努力義務として定められている「繰り返して使用することが可能な容器包装の使用」(法第4条)の実効性を高めるために抜本的に法改正します。即ち、容器製造から廃棄までの環境影響評価に基づきリターナブル容器が望ましい飲料等を指定し、指定容器の製造時に一定の課徴金を課すことによってリターナブル容器を普及させる制度を新たに設けます。
 最後に、拡大生産者責任の実現により市町村が分別収集を促進した場合であっても、回収が進まず再商品化が進まない容器についてはデポジット制度の対象とし、回収率の向上を進める新たな制度を加え、抜本改正を行うものとします。
   改正視点に基づき、次の通り改正すべき骨子を提案すると共に、関連する法規定並びに施行規則、政省令等の改正を求めます。
1.現行法の改正
現行法
改正内容
1)リサイクルよりもリユースを優先することを明記
(ア)法第1条(目的)
この法律は、容器包装廃棄物の分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

⇒一般廃棄物の減量と資源の有効利用の確保ための措置として、循環型社会形成推進基本法と同じくリデュース、リユース、リサイクルの優先順位を明記する。
2)拡大生産者責任の徹底(市町村の回収、分別、保管費用の事業者負担を定める)
(ア)法第11条(特定容器利用事業者の再商品化義務)第1項
特定容器利用事業者は、毎年度、主務省令で定めるところにより、その事業において用いる特定容器(中略)が属する容器包装区分に係る特定分別基準適合物について、再商品化義務量の再商品化をしなければならない。
(イ) 法第6条(地方公共団体の責務)第1項
市町村は、その区域内における容器包装廃棄物の分別収集に必要な措置を講ずるように努めなければならない。
⇒事業者の義務は再商品化義務量の再商品化に加え、市町村の分別収集(回収、分別、保管)費用も負担することを法で定める。法第12条、法第13条も同様とする。
⇒事業者の負担すべき分別収集費用は、市町村が明らかにすることを義務とする。かかる費用に基づき、再商品化単価同様、毎年度、主務大臣が事業者の負担費用を定めるものとする。
⇒市町村負担となっている小規模事業者(法第2条第11項第4号)については、事業者全体による負担とするべく、再商品化義務量(法第11条等)の比率を主務大臣が定めるものとする。
3)法第5条(国の責務)において、新たなリユース、リサイクル促進の制度創設を明記
(ア) 法第4条(事業者及び消費者の責務)
事業者及び消費者は、繰り返して使用することが可能な容器包装の使用、容器包装の過剰な使用の抑制等の容器包装の合理化により容器包装廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに(以下略)。
(イ) 法第5条(国の責務)第1項
国は、容器包装廃棄物の分別収集、分別基準適合物の再商品化等を促進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるように努めなければならない。
⇒事業者及び消費者の努力義務である「繰り返して使用することが可能な容器包装の使用」(法第4条)について実効性あらしめるため、法第5条(国の責務)において、「繰り返し使用することが可能な容器包装」の拡大を国の義務として法で定めると共に、新章で規定する。
⇒また、法の目的(法第1条)たる分別収集の促進に資するため、分別収集の進まない容器包装に対しての必要な措置(法第5条)を、新章により規定する。

2.リターナブル指定容器への課徴金制度の創設

  1. 環境負荷低減のためにリターナブル容器が相応しい飲料、例えば「牛乳」、「ビール」、「清涼飲料」、「食酢」等について、製造時に一定費用を負担させる課徴金制度を規定します。
  2. 課徴金制度は、対象容器の製造時に一定金額を賦課することにより、新しい容器を使用するすべての場合に事業者に課徴金を負担させますが、当該容器を回収して繰り返し使う場合には賦課されないため、繰り返し使用を促進させることを目的とします。
  3. 具体的には、主務大臣が対象とすべき飲料等を指定し、事業者がリターナブル容器を採用するインセンティブが働く適当な課徴金額を定めるものとします。
  4. 徴収した課徴金は、環境税の一種として、「生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与する」(法第1条)各種施策に充当することとします。

3.回収率低迷容器へのデポジット制度の創設

  1. 市町村による分別収集による回収率が一定の数値に達しない容器に対して、回収促進のためのデポジット制度を規定します。
  2. 具体的には、現在の回収率に基づき、主務大臣が対象容器を指定すると共に、数年後に達成すべき目標数値を定めて、達成できない場合には一律にデポジットの対象とします。
  3. 回収率の定義として、一般廃棄物(廃棄物処理法)を対象とする容器包装リサイクル法においては、市町村の分別収集対象となりうる『容器包装の製造量または販売量』を分母とし、実際に『市町村が分別収集した総量』を分子とします。
  4. デポジットの金額については、主務大臣が、分別収集の促進に資する適当な金額を定めるものとします。
   以上は、循環社会を目指す視点から改正すべき容器包装リサイクル法の概要ですが、当該個別法のみの改正では循環社会の実現は十分ではありません。
 即ち、これまでの日本においては、製造後や使用後に不要となった廃棄物の扱いについて、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が定められていますが、この法律は適正な処理、処分を確保することが目的であり、今日の資源循環を基本とする各種リサイクル法とは整合性が取れないものとなっています。また、「再生資源の有効な利用の促進に関する法律」が、リサイクルの上位法として制定されていますが、個別リサイクル法との整合性は十分ではありません。
 従って、これらの法律についても、上位法たる循環型社会形成推進基本法に基づき、リデュース、リユース、リサイクルの優先順位を明確にしながら、拡大生産者責任により抜本改正を図るべきものと考えますが、資源循環の統一的体系の構築に先んじても容器包装リサイクル法は早急に改正すべきであり、この度の改正概要の中では将来的な課題と位置付けるものとします。

 


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