市民と議員の条例づくり交流会議

◆全体会:第ニ部「変える、変わる、変えられる―自治法改正の評価と今後の議会改革」

わたしたちの議会改革提案
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■辻山(コーディネーター)
 二人からまさに熱弁を繰り返され、ちょっと頭が重いなと思われた方も多いでしょう。今日は多数の議員が参加していますが、そんなふうに一方的に言えるものではないという反論を含めた意見を期待しています。その反論の先駆けとして、私たちもこんなふうにやっているのだという紹介を、お二人の議員の方からお願いしたいと思います。


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「議会をおもしろくする!4つの提案」

小山美香(小金井市議会議員/東京ネット政策委員長)
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 東京都内には、議員を出しているところ、議員はいないが団体としてのネットがあるところなど、34の自治体に生活者ネットワークがあります。それぞれの地域の中で活動を続けながら、東京全体の政策について共通認識を持ち、自治体を超えて問題解決を図るために、各地域ネットから1名ずつの委員を出し、東京・生活者ネットワークの政策委員会を構成しています。政策委員会では、(1)東京政策の政策実現のプログラムの遂行、(2)タイムリーな情報共有と学習会の開催、(3)国政や都政の政策課題について議論し、見解を出す、との方針で、活動を進めています。

 政策委員会の中には3つのチームがあり、今日はその中の一つである議会改革チームからの提案を報告します。提案をまとめるにあたっては、チームの中で意見交換やワークショップを行ってきました。先ほど、「人々は議会を見放そうとしている」との言葉がありましたが、私たちはなんとか市民に関心を持ってもらいたい、まちづくりを一緒に進めたいと考え、そのために議会改革に取り組んできました。

 議会改革というと、議員定数の削減や議員報酬の削減に終始しがちですが、分権の流れとともに地方議会の役割も重要性を増すと考える中で、議会の形骸化を打ち破り、市民に期待される議会へと改革するための4つの提案をまとめました。以下の「議会をおもしろくする4つの提案」は、どれもあたりまえのことばかりだと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、これを慣例・慣習の強い議会の中で実現することに意義があると考えています。


1. 市民と対話する議会をつくる

 栗山町の報告にもありましたが、大事なことは地域の市民が決めていく時代です。しかし市長の諮問機関への市民参加が増える中、議会に市民の意見を聞く機会はほとんどありません。議会は市民要求を聞き、公正な立場で政策・予算化するところであると同時に、市長提案と行政の執行をチェックする機構でもあるという二面性を持っていますが、生活者ネットでは議会主催の公聴会、市民審議会、タウンミーティング等、議員と市民が直接議論できる議会をつくることが重要だと考えています。

 今回の調査では、各地域のネットに、実際に自分たちの議会のなかでそうした事例があるかどうかについて調査しました。明日の第一分科会では、その実践発表を、議会改革チームの砂川が行うことになっているためここで詳しくは述べませんが、制度を変えなくともできるところから実践している事例がいくつかあるということが分かりました。


2. 議員や市民の立法(条例提案)をサポートする独立した専門機関をつくる

 議員が条例を提案するには、議員定数の12分の1以上の署名が必要となります。また、市民が自分たちで条例提案を行うときは、有権者の50分の1以上の署名による直接請求しか制度化されていないのが現実です。このハードルを越えるのは大変なことです。そうした中で、議員が一人でも提案できるようにしたり、市民の提案権を保障する制度へと変えていかなければならないとの議論がなされました。

 条例案を作成するためには、上位法との関係や他条例との整合性などを調べたり、文言を整理したりといった専門知識も必要となります。議員だけではなく、市民がこうした提案をする際のサポート機能を担う専門機関が、執行機関から独立した機関として存在することが必要だと考えます。政策ごとのスタッフ公募等で、ボランタリーな市民の力も借りながら、立法機関をサポートできる専門機関が地域のなかにあったらいいのではないかと考えています。


3. 情報公開をすすめる

 これはすべての基本になるものだと考えています。栗山町からも議会の透明性の確保という報告がありましたとおり、もはやどの自治体でも進めねばならない大きな課題であり、議会が政策立案や決定・執行、評価過程を全面的に明らかにし、そのプロセスを見せていくことが大切であろうと考えています。

 市民に知らせるのは議会の基本的な責務です。求められる情報をなかなか出さないなどというのではなく、対話を進めるためにも議員と市民とが同じ情報を持つことが必要ではないかと考えます。そうしたところから、議員配布資料はすべて公開し、議会の公開ほかインターネット等でも情報を配信し、いつでもだれでも閲覧できるような議会行政資料室を設置すること等が必要ではないかと考えます。

 使いこなせる情報の提供ということでは、分かりやすい予算書の提案があります。ニセコ町でもすでに取り組まれていますが、東京都内では私たちの提案もあって世田谷区、小平市でこうした予算づくりが実行されています。


4. 議員特権をなくす

 費用弁償や公用車、一部事務組合等の報酬、政務調査費、議員年金の廃止等があげられていますが、これらをなんとかしていかない限り、議員=特別な人であるという意識を市民に改めてもらえないだろうと思います。一緒に対話を持ちましょうと呼びかけても、なかなか本音で話し合えない。したがって、議員特権をなくしていこうとの方向での強い打ち出しが必要かと考えています。

 費用弁償は、すでに都内の多摩地域ではほとんど行われていないのですが、23区ではまだ行われています。区部では初めて杉並区が実施するとの新聞報道がありました。しかし、各自治体の予算書を詳しく見る中で、退職議員の会があり、そこにお金が出ているところがあるという状況が新たに明らかになりました。議員特権以上に、議員を辞めてからの特別扱いには問題がありますので、これについては税金を使わないとの提案も必要ではないかと考えています。

 東京・生活者ネットワークでは、これら4つの提案を掲げながら、自分たちのできるところから、また地域の市民と話し合いながら、どういうかたちで議会を改革すべきかを考えていきたいと思っています。

 また、一市だけでは他市との比較検討はできません。これまでおかしくないと感じていたことでも、他の議会と話しをすることで、やはりおかしかったのかということが出てくる。いろんな議会と意見交換をしながら、より良い議会のあり方、議会への市民参加のあり方を考えていけたらいいと考えています。

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