市民と議員の条例づくり交流会議

◆第3分科会「予算をめぐる長と議会の関係」

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「市民・議会による予算制御の可能性―我孫子市予算編成過程の公開を受けて」

勝部裕史(我孫子市議会議員)
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■我孫子市の現状―議会と首長の関係

 これまでに我孫子市長の話を聞かれた方もいると思うが、それを受けて立つ議会側の人間の立場から、違った面で我孫子市の現状をお知らせできればと思う。「改革派の福島市長」と「それに横槍を入れる議会」と思われる方もいるかもしれないが、議会と福島市長とは、人間関係として対立しているわけではなく、よくいう是々非々の関係。野村先生は「原案可決は議会が『ウマシカ』だからだ」とおっしゃったが、我孫子市議会では原案可決はほとんどなく、全て修正しているし、本予算では無いが補正予算を否決したこともある。

 全国的に有名な市長の改革案が、なぜ我孫子で実行できるか。それは我孫子市議会がそれほど反発していないから。なぜ反発しないかと言うと、もともと我々も改革を進めてきている中で、今更というところもある。野村先生の話を聞くと足りないところもあるとは思うが、議会改革も進めており、政治家が密約で決めてしまうとか、与党が市長とグルになって決めてしまう、といったことはない。我孫子市では、補助金をゼロに戻したり、予算編成過程をHPで市民に公表する、最近では事業をすべて公開し、民間提案型のサービス民営化なども行っている。

 いわゆる改革派の首長の改革案が通るのは、市長が偉いのでなく、そうしたことをきちっと素直に認めることができる土壌をつくった我孫子市民が偉いということだ。事業者と議員が組んで、「次はあいつを市長にしよう」というようなところであれば、こうした改革案は通らない。市長が「俺が俺が」とアピールするためで、それを「何だよ」と感じるようなことはあっても、「あいつが持ってきたものは全部否決してやろう」ということはない。いろいろな議論をしながら、市長も納得の上で修正する。市長の偉いところは、根回しをせずに真っ向勝負で議論してやろうと仕向けてくるところ。だからこちらも意地を張らずに、議論しながら修正していく。そういう意味では、我孫子市では二元代制がうまく機能しているのではないかと思っている。


■予算編成過程公開制度―概要と市民の反応、議会の反応

 予算編成過程の公開に対して市民の反応はどうだったか。それについてのパブリックコメントはたったの5件。家の前の排水をどうにかして、という意見もあった。HPを見ていただければ分かるが、何万円単位の予算であっても、どういう形での話し合いが行われ、優先度がAからBに変わったということまで公開される。極端な例で言うと、損傷が激しいため公用車を買い替えるとしていたのが、他の車を利用することで優先度をAからCに落とした例がある。全部が表に掲載されているので、私はこう思うからDではないか、次回に回しても良いのではないかといった具体的な議論が議会においてできるようになった。これが定着していけば、予算編成にも市民がもっと口出しできるようになるだろう。

 こうした制度ができたことで、予算に対して市民に分かりやすい形での議論ができるようになったと評価している。議員の口利きが入ったりすると、市民に全く見えない予算編成過程になるが、そういうこともやりにくくなった。それを常としている人から見れば、嫌だということになろうが、もともとそういう議員もいない。他のところでやろうとしたら、大騒ぎになると思う。さらに市長は、事業担当部署へ議員が話に来た場合、それを公文書扱いで報告、公開しなさいとした。市民も見ることができる。

 市民がここまでいろいろな情報を得ることができるということで、議会制民主主義や議員特権というものを考え直すいい機会になったと思う。自分たちがあらかじめ情報を持っていることを、議員の既得権と考える人がいたら、我孫子ではやっていけない。


■最後に

 レジュメには「いかに議員同士が公の議論をしていくのか」と書いたが、これは実現できていない。議会の中で議員同士が議論をする過程を市民に公開する。市民が、なるほど勝部はこう言っていると分かるようにすることが一番大切なことではないかと思う。

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