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注目のリサイクル工場、エコスファクトリー見学

プラスチックを素材別に選別、高度なリサイクルを実現

FoE Japan ボランティア 佐藤穂貴

 2012年4月27日午後、3R全国ネットから7名が参加し、埼玉県本庄市の株式会社エコスファクトリーを見学しました。同社は、環境コンサルティング業の株式会社リサイクルワンを主な出資者として2006年に設立された会社で、容器包装リサイクル法に基づき分別収集されたプラスチック製容器包装を、PE、PP、PSのペレットに再商品化する事業を営んでいます。産廃のリサイクルはしていません。
 当日は、同社代表取締役の松本俊章氏から会社と施設の概要を説明いただいた後、施設見学をし、最後に質疑応答を行ないました。

5割が原料ペレットに再商品化

 同社施設には光学自動選別機が3台設置され、うち2台はPEの選別、残りの1台はPPの選別に使用されていました。PSについては、今は一部だけをリサイクルしていますが、2012年5月に4台目の自動選別機を導入して一層の再商品化に努める予定とのことです。施設では現在、1日当たり約90トンの容器包装をリサイクルしています。

  光学式自動選別機では、赤外線センサーによりプラスチックの組成を瞬時に識別し、該当する容器包装を風で飛ばして選別していました。選別の質を向上させるためには、センサーの識別精度を上げる必要がありますが、その前工程として、容器包装が重ならないよう手選別によって大型または袋状の容器包装が取り除かれていました。なお、黒色の容器包装はセンサーでの識別が困難とのことです。
 その後、洗浄、破砕工程を経ながら金属や砂等の不純物を除去し、フラフと呼ばれる状態にまで細かくなった容器包装は、ペレタイザーによって溶かされます。そしてフィルターをくぐり抜けたプラスチックからペレットが作られていました。ペレットの純度は約90%だそうです。なお、元の容器包装のインクが混じり合うために、ペレットは濃い色になります。
 以上の工程により、投入された容器包装の約5割がペレット化され、その残りは残さとなりRPF化されます。生産したペレットはすべて国内向けに出荷されているそうです。
なお、同社は2012年4月から1年間、容リ協会の委託事業として、群馬県伊勢崎市が分別収集したプラスチック製容器包装を再商品化する実証実験を開始しています。

質疑応答

 入札に関して、同社は、マテリアルリサイクル事業者間での競争力はあるものの、いわゆるマテリアルリサイクルの優先枠がなければ、ケミカルリサイクル事業者との価格競争は厳しいとのことです。制度の改善について望む点としては、市町村の容器包装を複数年にわたって処理できるようになれば、再商品化事業者の視点からより望ましい分別収集方法を市町村に提案でき、協同してリサイクルの質を高められるとの話がありました。その他、市民は異物(食べ物や金属、塩ビ類等)の混入や、袋に袋を入れることは避けてほしい、市町村は市民への分別収集の協力の呼びかけを徹底してほしい、容器包装の製造・利用事業者はなるべく単一素材の商品を作ってほしい等の要望を聴くことができました。

見学を終えて
 マテリアルリサイクルは、とかくコストがかかるうえに再商品化した製品等の質も低いのではないかという先入観がありましたが、今回の見学により、再商品化事業者は、機械化と技術の高度化によってそれらの課題を克服しようと努力していることを知ることができました。再商品化事業者は、リサイクルの輪を完結させる重要な役割を担っています。容リ法の制度設計においても、その視点を尊重し、これまで以上に他のステイクホルダーとの対話や連携を密にすることが重要であると感じました。

(2012年5月8日)