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2016年10月21日開催

3R全国ネット主催10.21振り返り集会を開催しました

●日 時 2016年10月21日(金)13:00〜16:30
●会 場 全水道会館 5F会議室

参加者は、北海道から九州まで、全国のNPO市民や生協組合員を中心に、学識者や事業者団体などから総勢96名の参加がありました。

集会の開始前に、司会者より、自民党衆議院議員の田中和徳さんと、民進党衆議院議員の田島一成さんから、振り返り集会についてのメッセージをいただいたことが紹介されました。

第一部

はじめに、開会のあいさつと合同審議会での議論経過について、審議会委員である中井八千代(3R全国ネット副運営委員長)より報告しました。


中井八千代・3R全国ネット副運営委員長

報告は、2003年にごみ問題に取り組む全国の市民・団体と共に立ち上げた「容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク」の100万筆の国会請願署名の振り返りから始まりました。
そして、2010年から再チャレンジした、容リ法見直しを求める国会請願署名の2011年8月の国会請願採択。これを受け、2013年に始まった容リ法見直しの合同会合の審議経過。途中、一年半のブランクがあり、2016年1月から開始されたアリバイ的な審議経過などについての発言がありました。
最後に、私たち運営委員会の力量不足により、請願署名に協力していただいた全国の皆様に、今回の結果を、胸を張って報告できないのは、とても残念です、と報告しました。

【講演1】

講演では、審議会委員でもある、東京大学大学院教授の森口祐一さんより、「資源効率性の高い循環型社会構築に向けた合同審議会の成果と課題、各当事者に求められる役割」と題してお話しいただきました。


森口祐一・東京大学大学院教授

冒頭、2011年の国会請願採択を経て、3R全国ネットが開催した10月25日の緊急院内集会にご登壇されたことについて触れられて、基本的な考え方は当時と変わらないことをお話しされました。また、EUの循環型社会の考え方についてコメントされました。
そして、日本のPETボトルリサイクルの場合、5万円/tの有価物としてリサイクルするために14万円/tの回収費用をかけていることの問題を指摘されました。
続いて、法体系の全体像を説明された後、両論併記にとどまった審議会の経過について、永田座長の発言にも触れられながら、お話しされました。
最後に、容リ法だけを単独で扱うことには限界があることを踏まえ、今後のリサイクルの方向性についてご提言されました。

【講演2】

次に、千葉大学大学院教授の倉阪秀史さんに、「パリ協定で目指すCO2削減からバックキャストで考える、日本のごみ問題解決のための処方箋」と題してお話しいただきました。


倉阪秀史・千葉大学大学院教授

倉阪さんは、第一次容リ法改正市民案づくりにもご協力いただきましたが、2005年当時、改正条文案まで作成いただいたことを振り返って報告されました。
また、1970年に廃掃法(現廃棄物処理法)ができてから、2020年に50年が経過することから、廃棄物処理法を改正し、“廃棄物”の定義そのものを見直すべきではないかと提言されました。
そして、パリ協定後の世界についてお話しいただいた後、<日本は一人当たりの人工資本が世界一であること>を切り口として、日本は過剰保有社会であり、今あるものを使いまわしてゆくことが重要であること。ビジネスのスタイルをモノの販売から、サービスを販売する形態に移行してゆくことが必要であること、などをお話しいただきました。

質疑

タイムスケジュールの関係で、質問は用紙に記載いただいて、講師の方にご回答いただきました。主な、質疑は以下のとおりです。

●森口先生への質問とご回答のポイント
Q)PETボトルの回収率90%は信じられないが?
A)確からしい値である。
Q)識別マークは実態を表しているか?
A)表していない。PETボトルは、ほとんどがボトルには戻っていない。また、「その他プラ」のマークは法の対象になっていることを示すものであって、リサイクルに適していることを示しているのではない。
Q)油化の再商品化手法がゼロになった理由は?
A) 油化で作った油のかなりの割合をリサイクルの工程自身で使ってしまうので非効率。課税の問題もある。

●倉阪先生への質問とご回答のポイント
Q)地球は寒冷化にむかっているのではないか?
A)すでに、巨大台風などの様々な気象の異常が始まっている。
Q)CO2削減目標は、経済発展を抑制しないか?
A)むしろ、ビジネスチャンスである。
Q)中国・米国の早期批准の理由は?
A)日本が遅れただけ。
Q)パリ協定に関して、原子力発電所を産業界が再稼働したいと考えているのはなぜか?
A)投資が済んだものは使い倒したいという思惑である。
Q)サービサイズに雇用の問題はないか?
A)素材産業は「負け犬」になる可能性があるが、ほかのビジネスが出てくる。

第二部

賛同団体からの発言では、たくさんの団体から様々なメッセージが発言されました。
まず、一般の賛同団体より、全国びん商連合会副会長の宮永眞彦さん、全国生活学校連絡協議会前事務局長の鈴木和子さんから発言されました。
続いて、Rびんのリユースに取り組むびん再使用ネットワークの参加生協より、生活協同組合パルシステム東京地球環境担当理事の松野玲子さん、グリーンコープ共同体組織委員長の久保かおりさん、生活クラブ連合会理事の清水泉さん、東都生協組合員理事の稲田美智子さんから発言されました。
そして、3R全国ネットの活動として取り組まれた各地の3R政策地域研究会より、新潟のてtoて倶楽部共同代表の永澤由紀子さん、栃木の環境問題を考える会事務局の益子友幸さん、埼玉のNPO法人埼玉エコ・リサイクル連絡会理事の上領園子さん、東京・多摩地域のクリーンむさしのを推進する会副代表の白石ケイ子さん、山梨のNPO法人スペースふう代表の永井寛子さん、静岡の「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワークの壷阪道也さん、京都の京都市ごみ減量推進会議職員の堀孝弘さん、奈良の奈良エコライフ研究会代表の栗岡理子さん、大阪のRびんプロジェクト代表の西村優子さん、九州のワーカーズ・ごみ問題研究会代表の片山純子さんから発言されました。
全員で16人の方々の様々な取り組みやメッセージを共有することで、多くの参加者が元気になることができました。なお、3R政策地域研究会は、発言された地域のほかには、北海道と愛知で取り組まれています。

閉会


羽賀育子・3R全国ネット前副運営委員長

最後に、初期の審議会に委員として出席していた、羽賀育子3R全国ネット前副運営委員長が登壇し、集会を締めくくる閉会あいさつをいたしました。