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国際フォーラム・フォローアップセミナー開催しました

  国際フォーラム・フォローアップセミナーを開催しました

 2012年12月6日の国際フォーラムでは、EUのさまざまなEPR導入事例について学びましたが、論点整理の時間が限られてしまったため、改めて2013年3月12日に国際フォーラムのフォローアップセミナーを開催いたしました。
セミナーでは、国際フォーラムでコメンテーターを務められた山川先生に詳しく論点整理をしていただくとともに、EUの中でも優良事例と言われるベルギーのしくみについて、丁寧にご紹介いただきました。資料の中では、国際フォーラムで会場から出された質問について、トーマス・リンクヴィストさんから追加で回答をいただいた内容を紹介しました。また、新宿区の伊藤憲夫環境清掃部長からは、区の具体的なリサイクル事業の現状と課題について報告いただきました。
 尚、冒頭で、急遽ご参加いただくことになった、ベルギー王国大使館のクリストフ・ドゥ・バッソンピエール公使参事官からご挨拶いただきました。『ベルギーの制度は1990年代の半ばに出来あがった。日本のほうが分別は多いと思うが、ベルギーでは「ガラス」「紙・板紙」「PMD(PETボトル・HDPEボトル・鉄・アルミ・紙パック)」「ごみ」の4分別である。ベルギーのリサイクルシステムが評価されていることにはびっくりした。これからは、ぜひPRしてゆきたい。』という趣旨の発言がありました。
セミナーの後半では、EPR、発生抑制、リユース、リサイクルの各テーマに沿って意見交換を行いました。参加者は総勢58名でした。

●報告や意見交換での主なポイントは以下のとおりです。
・新宿区の処理経費では、白色トレイは回収量が少ないので、収集単価としては極端に割高になっている。
・レジ袋について、値引きでは30%の削減効果だが、有料化では80%である。有料化で消費者にメッセージが伝わった成果だ。リサイクルも、上流のメーカーにメッセージが伝わるような制度にしなければならない。
・日本のしくみで、事業者に財務的な責任を拡大することで、発生抑制は促進されるのかという観点から、しっかり議論することが必要である。単純にEUと同じしくみにすればよいのではない。EUでは収集は10d車であり、日本は2d車が標準なので、EUのほうが収集効率が高い。

○ベルギーと日本のコストの違いはどこか。再商品化の引取り価格が大きく異なるが。
→もともとEUでは、PE・PPを再生原料とする市場があったので、それを活用して有価で回している。日本は最終処分場の延命から始まっているので、もともとの制度設計が異なる。
・社会的なコストを低減するだけであれば、リサイクルしないで、すべて燃やしてしまえとなる。リサイクルから3Rに変わってゆくためには、税金でリサイクルだけを進めるには無理がある。

○プラスチックについて、日本はフィルム類が多く、フランスやベルギーはボトル類が多いのはなぜか。
→EUは裸売りや紙箱が多い。さらに、日本では詰め替え用が多いからではないか。
・他国との比較をするなら、データの内容を詳細に示さないと議論にはならないのではないか。
・私たちは生きているのであり、発生抑制を「生産量の抑制」とすることはできないが、最後の「排出の抑制」とするのもどうか。「新規の資源投入量の抑制」とすべきではないか。それにしても、ガソリンよりも高い水を買うという、消費者のライフスタイルはどうにかすべき。
・これからも、議論は継続することになるが、ゆきずまったら、「EPRの原点とは何か」という観点に帰るべきではないか。もともと、容リ法はごみ問題を解決するために生まれたのである。
・持続可能な循環型社会を構築するためにこそ発生抑制が必要である。これからは、消費は減らさずに、事業者と協力して効率化を図り、コストを下げながら3Rを進めることが今後の課題ではないか。さらには、制度だけでなく、消費者のライフスタイルの転換やリユースを活かす地域文化の醸成も大切である。