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シンポジウム・イベント

2Rキャンペーンin京都

 会場となった「さいりん館」は、古い京町屋を再現させた奥ゆかしい建物で、参加人数には限りがあり、定員28名としました。「からすま大学」から50人という多人数の参加申し込みがありましたが、抽選で15名にし、他からの申込み13名としました。以下、その内容をご紹介します。

3R全国ネットの羽賀さん まずはじめに3R全国ネットの羽賀育子より挨拶があり、続いて京都のお茶の老舗一保堂さんから、美味しい日本茶の淹れ方の講習。その後参加者一人ひとりに急須とお茶・和菓子が配られ、自分で丁寧に淹れて味わうという貴重な体験をしました。休憩の後、3R全国ネット、環境市民、For Japanから、2R推進の必要性と世の中のしくみと一人ひとりのライフスタイルを見直そうと呼びかけました。

 

お茶の教室 〜煎茶を楽しむ〜  講師:一保堂茶舗さん

一保堂さん紹介●一保堂茶舗の紹介
 およそ290年前に近江出身の渡辺伊兵衛が京に出て寺町通りに拓いた「近江屋」にはじまる。その後、山階宮から「茶 一つを保つ」ようにと「一保堂」の屋号を賜った。それから今日まで抹茶をはじめ玉露・煎茶・番茶類などの日本茶(京銘茶)を扱っている。
●日本茶の種類について
 2つの茶畑(露天園と覆下園)から4種類の味わいがある。
◇露天園…太陽を浴び続けることで、さっぱり感が生まれる
   煎茶(ほんのりした甘みと香りでさっぱりした飲み口)
   番茶類/柳類(香り高く、あっさりした飲み口)
◇覆下園…直射日光を遮ることで、うまみが生まれる
   玉露(じんわりと「うまみ」、「コク」がある飲み口)
   抹茶(ふくよかな「うまみ」、ほろ苦い後口)

実演●急須を用いての実演
※急須選びのポイント

  1. 茶漉し(でべそ)が大きい
  2. 茶漉しの穴が沢山ある
  3. 蓋が大きい
  4. 本体と蓋の密着度が高い(1セットで使用できる)

<急須でのお茶の淹れ方>

  1. 急須へ茶葉を入れる(約10g:2人分)
  2. ポットのお湯を茶碗へ入れ(2つの茶碗に7分目まで)、適温になるまで冷ます。適正温度(約80度)
  3. 冷めたお湯を<1>へ入れる。(抽出時間:50秒)※急須の中の茶葉とお湯が触れた瞬間から時間を測定。※急須を揺らさず、触らず、待つ。
  4. 茶碗へ急須のお茶を淹れる。※その際も揺らさず、2つの茶碗を並べて、平行移動しながら最後の一滴まで淹れきる。 
  5. 茶漉しに寄った茶葉を移動させるために急須をたたく。
  6. 2煎目に備えて、急須の蓋は少し開けて置いておく。

2Rのすすめ 〜さようなら大量リサイクル、こんにちは2Rな暮らし!〜
中井八千代さん講師:容器包装の3Rを進める全国ネットワーク 中井八千代さん

 2Rキャンペーンのアニメ動画と活動を紹介したあと、(1).ReduceとReuseの2Rを進める法律に改正しよう。(2)国会(衆議院と参議院)に提出する請願署名について、(3).自治体議会から国会や関係省庁に「意見書」を提出する請願署名について、など容器包装リサイクル法の改正に向 けた請願署名運動取組みを紹介しました。

ひと手間の中にある豊かさが未来の環境を創造する 〜容器包装ごみの素敵な減らし方〜
講師:環境市民 事務局長 堀孝弘さん

堀孝弘さん●ごみ問題の基礎知識
・全国の市町村がごみ処理にかけている費用の総計は年間 約2兆円。
 →1人あたりにすると1万4,600円。
・家庭ごみ(普通ごみ)と資源ごみ(缶、瓶、PETボトル)の1tあたり処理原価の費用は、家庭ごみ 約6万円に対し、資源ごみ 約24万円。
 →焼却するごみよりリサイクルごみが約4倍。
 →現状、リサイクル費用の大半は市町村(地域市民)が負担。その処理には沢山の税金が使われ、多く利用している人、あまり利用していない人も、負担はほとんど変わらない。福祉や教育などへの税金を有効利用できない。
・PETボトルの生産量と回収量の推移は増え続け、リサイクルも増加している。
 →PETボトルの大半は清涼飲料水(緑茶)である。
・自動販売機の設置は、50人に1台という計算に。
●2R(3R)について
・ごみ処理費用や環境のことも考えて商品選択する消費者(グリーンコンシューマー)
・お茶は、自分で淹れたら美味しくて安い。
→ 100mlあたりで缶入り緑茶は28〜34円、自分で淹れたら数円。
→ 缶やPETボトルのお茶は玉露(粉茶)と同じくらいに高額!
・のどの乾きは季節の果物(もちろん国産)で癒そう!

水Do!キャンペーンについて  講師:FoE Japan 吉田明子さん

●キャンペーンの背景
2010年6月、ペットボトルなどの容器に入った飲料ではなく、水道水を選ぶことで、CO2やごみ、そして社会的なコストを削減しようと呼びかけるために、キャンペーンが始まった。以下の3つの柱を中心に展開。

(1)自治体の率先した行動を広げよう。
・会議などで使い捨て容器に入った飲み物を出さない。
・庁舎には自動販売機を置かない。

(2)街のオアシスを増やそう。
・駅や公共スペースの水飲み場を調査し、設置が望まれる場所に自治体や事業者に提案していく。
・飲み終わって空になったマイボトルに水を入れるサービスをしてくれるカフェやレストランを増やしていく。
・集まった街のオアシス情報は、ウェブサイト上のマップに掲載し、活用を呼びかける。

(3)水Do!生活」しよう。
・家庭、外出先、オフィスやキャンパスで、水道水を活用することで実践できる豊かで快適なライフスタイルを提案する情報発信を行う。(各地でイベントを開催する。)

●環境負荷について
・ペットボトルなどの使い捨て容器に入った飲料は、「飲料・容器の製造」、「輸送」、「冷蔵販売」、「容器の処理またはリサイクル」といったライフサイクルの中で、多くの資源やエネルギーを必要とする。特に輸入ミネラルウォーターでは、負荷が大きい。
・リサイクルをしないよりはした方が若干負荷は減らせるが、その貢献はライフサイクル全体での環境負荷に比べると非常に少ない。リサイクルするよりも水道水を選ぶほうがはるかに地球にやさしい。
●社会的コストについて
・容器包装リサイクル法では、最もコストのかかる収集・選別・保管は自治体の役割で、私たちの税金が使われている。
→排出する容器包装が増加するほど、自治体の負担は重くなる。
・排出量を減らすことが、最も社会的コストの削減につながる。
→税金を有効活用することができる。
●国内外で広がる水道水の見直し
・米国では、2007年に全米市長会が、水道水利用を推進する宣言を採択し、ニューヨーク市、サンフランシスコ市など多くの自治体が、ペットボトル飲料水の調達を禁止している。
・英国では、国の政府レベルの取組みになっており、すべての省庁で会議でのペットボトル飲料水の使用を禁止。
・オーストラリアのバンダヌーンでは、町内でのペットボトル飲料の販売を条例で禁止。町の各所に水飲み場や水筒への給水スポットが設置され、市民が利用している。
・日本でも、会議ではペットボトルや缶のお茶ではなく、地元の美味しい水を提供する自治体、庁舎内や市の施設の飲料自販機を順次廃止している。都市部でも、飲料を買わず、水筒を持ち歩く人も増えている。