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第259号(2024年2月15日発行)

  

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   容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース

        第 259号   2024 年 2 月 15 日

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 脱炭素に取り組むフランスでは、今年から生ごみなどの有機性廃棄物の分別収集義務化が始まりました。自治体は、生ごみ収集箱や堆肥化施設を用意するなどして、収集した生ごみを堆肥化し農業に利用したり、メタン化して都市交通の燃料や暖房、ガスなどに利用します。公園などに設置された堆肥化施設には、生分解性プラスチックなどは入れることはできませんが、紅茶のティーバッグや紙ナプキンは入れることができるそうです。

 この有機性廃棄物のリサイクル政策は、2020年に施行された循環経済法の一環です。2023年から年間5トン以上の有機性廃棄物排出事業者を対象に義務づけられ、今年から全国民に対象が広がりました。

 2014年から生ごみの堆肥化を進めているパリ市では、既に市の施設等で発生する食品廃棄物をバイオガスに変換し、バスやトラックに使用するなどしていますが、個人で堆肥化を希望する住民には、ミミズのコンポストを無料配布しています。もし、ミミズが死んでしまった場合はまたミミズを無料でもらうことができます。

 数あるコンポストの中でミミズのような生き物によるコンポストが選ばれた理由は、ミミズは短時間で多くの生ごみを堆肥に変えることができる上、手間がかからないことなどだそうです。子ども向けミミズコンポストのガイドブックもネットで公開されています。生ごみの回収場所やコンポストの具体的な使い方についての情報は、市民団体なども積極的に公開し、政策を後押ししています。

 循環経済法ではプラスチックについても規制しています。例えば、2022年から開始されたプラスチック製ティーバッグの禁止や、野菜や果物のプラスチック包装の禁止も同法によるものです。さらに、同法によりフランスでは2040年までにすべての使い捨てプラスチック包装が禁止されます。日本との差は開くばかりです。いつになったら日本にもこのような法律ができるのでしょうか。

(政策委員 栗岡理子)

---- 目 次 --- C o n t e n t s -------------------------------

巻頭言
<1> 【レポート】
   プラスチックリサイクル施設が大量のマイクロプラスチックを放出
<2> 地域からの報告 ごみ・環境ビジョン21多田眞さんからの報告  

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■  <1>【 レポート】プラスチックリサイクル施設が
■             大量のマイクロプラスチックを放出

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 英国の研究者たちは、年間22,680トンの混合プラスチック廃棄物を受け入れる英国の最新鋭プラスチックメカニカルリサイクル施設からの洗浄排出水中のマイクロプラスチックを調べました。
メカニカルリサイクル(マテリアルリサイクルとも言う)は、廃プラスチックを選別したあと粉砕、風力分離、洗浄、乾燥などを行います。廃プラスチックの汚れを取り除くために、洗浄は不可欠です。洗浄の際にマイクロプラスチック(5mm以下のプラスチック粒子)が洗浄排水中に含まれます。

 この施設では未処理のリサイクル洗浄水には、約600万〜1億個/m3のマイクロプラスチックが含まれていると推定されました(蛍光顕微鏡分析による)。このプラスチックリサイクル施設では洗浄排水をフィルターでろ過しています。ろ過装置の設置によりマイクロプラスチック汚染の軽減が軽減され、5µmを超えるマイクロプラスチックの大部分を除去し、40µmを超えるマイクロプラスチックに対しては高い除去効率を示しました。しかし、5µm未満のマイクロプラスチックは一般的にろ過で除去されず、その後排出され、年間59〜1184トンが排出される可能性があります。放出されるマイクロプラスチックは受け入れ廃プラスチックの0.3〜5.2%に相当します。5µm未満のマイクロプラスチックは人間や動物、植物に有毒な影響を与える可能性があります。

同様に、中国の3つのプラスチックリサイクル施設の排水サンプルがGuoらによって調べられ(2022)、また、ベトナムの3つのプラスチックリサイクル施設の排水が鈴木らによって調べられました(2022) 。プラスチックをメカニカルリサイクルすると大量のマイクロプラスチックを放出することが分かりました。プラスチックのサーキュラーエコノミーを進めるとマイクロプラスチックの大量汚染が進みます。

 したがって、私たちは、プラスチック製品を買わない、プラスチックで包装された商品を選ばない、プラスチックを使わない、どうしても使う場合はリユースすることによりプラスチックの消費を減らすことが必要です。

(運営委員 小寺正明)

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■  <2> 地域からの報告 ごみ・環境ビジョン21 多田眞さんからの報告   
■         <3R政策地域研究会in東京多摩> 

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<ごみ焼却の少ない東京多摩地域>

 ごみ減量・資源化先進の東京多摩地域ですが、それを反映して、1人1日当たりごみ焼却量が少ないという特徴があります。2021年度の1人1日当たりごみ焼却量は全国684gに対して東京多摩地域502gと約27%も低い値を示しています。

 東京多摩地域のごみ焼却量が少ない要因として、ごみ排出量が少なく、リサイクル率が高いことが挙げられます。1人1日当たりごみ排出量(2021年度)は、全国の890gに対して多摩721gと約19%低くなっています。また、リサイクル率も全国が19.9%に対して多摩地域は37.3%と大きく差をつけています。東京多摩地域は、人口10万人以上50万人未満の自治体の1人1日当たりごみ排出量ベスト10で8つを占め、また、リサイクル率ベスト10で6つを占めています。

 東京多摩地域のごみ排出量が少ない背景として、家庭ごみの有料化実施率の高さがあります。現在全国平均有料化率は66%ですが、東京多摩地域では30自治体中29自治体が有料化をすでに実施しています。

 さらに、東京多摩地域には自治体間のごみ減量・資源化の競争を促す仕組みが存在していて、東京市町村自治調査会の『多摩地域ごみ実態調査』(毎年発行)によって各自治体の取り組み実績を見える化することで競争意識を刺激しあう効果を生んでいます。取り組み実績の見える化では、市民団体の「ごみ・環境ビジョン21(ごみかん)」も一役買っていて、毎年、会報『ごみっと・SUN』に、各自治体のごみ排出量・資源化率、ごみ焼却量・埋立量、ごみ処理経費を比較して各自治体の実績を順位付けした結果を掲載し、全30自治体に提供しています。

 また、東京多摩地域のリサイクル率が高い背景には、容器包装プラスチックの分別収集実施率の高さがあります。全国の分別収集実施率は67%ですが、東京多摩地域では30自治体中26自治体(87%)が実施しています。

--------------------------- 事務局からのお知らせ------------------------------
● 会議開催日程
◎ 運営委員会 : 2024年2月16日(金) 19:30〜21:00・ ZOOM会議
※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。ご不要の方はご連絡ください。

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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
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