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第246号(2023年1月18日発行)

  

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   容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース

        第 246号   2023 年 1 月 18 日

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謹んで初春のお慶びを申し上げます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

〈経済的で高効率なプラスチック資源循環を模索する仙台市>

 プラスチック廃棄物の資源化は、これまでの容器包装リサイクル法と、令和4年4月から施行のプラスチック資源循環法(以下「新法」という。)、二つの法律が管轄することとなりました。同じプラスチック素材なのに、事業者責任で資源化することが決められているのは容器包装だけ。自治体のみならず、事業者責任の徹底によって製造段階から環境配慮のものづくりをすすめようと主張してきた3R全国ネットにとっても、新法をどう生かすかの悩みはつきません。

 新法では、資源化の方法としてこれまでの容器包装リサイクル法に基づく容リ協ルート(法32条)の他に、自治体が一括回収の再商品化計画を策定し、環境・経産大臣の認定を受けることで、自らリサイクルを行うことができる仕組み(法33条)が新たに設けられました。この認定を受けると、自治体がこれまで行ってきた手選別を省略でき、センサーで素材別に分別できる光学式選別機を導入したリサイクル事業者と連携することで、質の高い資源循環を、経済的かつ高効率に進めることができます。またリサイクルの「見える化」を図り、身近な製品へのリサイクル等も検討できます。

 効率的な資源化方式とその実証試行を提案した当会としては、事業者責任を徹底させたうえでの効率化が本意ではありましたが、製品プラスチックの回収によってさらに負担が増える自治体が、新法を活かして廃棄物行政の効率化を図ろうとしていることにも注目しています。

 仙台市の事例を紹介しましょう。仙台市では、令和2年からプラスチックの一括回収の実証事業を実施しました。その結果は、以下のとおりです。

・ プラスチックごみの回収量は、一括回収前と比べて約12%増加。回収量中の製品プラスチックの割合は約8.6%
・ 排出される製品プラスチックは形状や素材が多岐にわたるもののリサイクルに支障はないこと、不適物の混入は あるものの選別工程で適切に除去できることを確認。
・住民 アンケートに「分別が分かりやすくなった」「今後の本格実施を望む」との回答が8割。

 仙台市では、プラスチックごみの再商品化計画を申請し、全国で第1号となる環境・経産大臣の認定を取得。令和5年4月から自治体自らのリサイクル事業(法33条)を本格的に実施することになりました。さらに仙台市に続き、安城市、横須賀市も認定されました。

 自治体の仕事が増える半面これを効率化し、さらにごみ焼却場で燃やされてきたプラスチックが資源化されることで、CO2排出が削減され、焼却費用も軽減されることともなります。これまで容器包装プラスチックの分別収集にも取り組めていなかった自治体も、新法施行はごみ行政刷新のチャンスともなりえます。市民参画での検討を期待したいと思います。

(運営委員長 中井八千代)

---- 目 次 --- C o n t e n t s -------------------------------

 巻頭言
<1>【レポート】 魚類がマイクロプラスチックの摂取によりプラスチック添加剤を体組織に蓄積
<2> 地域からの報告 和白干潟(福岡市)を守る会代表:山本 廣子さんからの報告

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■<1>【レポート 】 魚類がマイクロプラスチックの摂取により
■               プラスチック添加剤を体組織に蓄積

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北海道大学と東京農工大学の研究者たちのグループは、魚類がマイクロプラスチックの摂取を通じて、プラスチック製品に含まれる添加剤を筋肉や肝臓などの体組織に取り込み蓄積することを、世界で初めて実証しました。

 添加剤は、プラスチックが細分化されると周辺環境に溶出しやすくなります。魚類はマイクロプラスチックを海水中及び餌生物から取り込むため、その2つの経路を介して添加剤が体組織に移行・蓄積する可能性が指摘されていました。そこで、添加剤として 2 種類の臭素系難燃剤(BDE209、DBDPE)と3 種類の紫外線吸収剤(UV-234、UV-327、BP-12)を含むポリエチレンペレットを粉砕して、平均粒径 30 μm にしたマイクロプラスチックを実験に用い、肉食性魚類シモフリカジカとその餌生物であるイサザアミ類を用いて、 (1)野外から採取した直後の個体、 (2)添加剤入りマイクロプラスチックを水中に入れ、マイクロプラスチックを摂取していないアミを餌として 与えた個体、 (3)添加剤入りマイクロプラスチックを摂取したアミを餌として与えた個体について筋組織と肝臓の添加剤の濃度 を測定し比較しました。

 魚類のマイクロプラスチック摂取による添加剤の組織への移行について、2つの経路の相対的重要性を検証しました。 その結果、添加剤入りマイクロプラスチックを含む海水中で魚を飼育した場合及びマイクロプラスチックを含む餌生物を魚に摂食させた場合に、魚の筋肉や肝臓に添加剤が蓄積することが示されました。両経路の相対的重要性は、添加剤の種類や組織により異なっており、それには化学物質の特性が関連していることが示唆されました。

 これまでプラスチックから溶け出し生物に蓄積するリスクが少ないとされていた添加剤が、マイクロプラスチックの摂取により動物の体組織に移行、蓄積していることを示しました。 マイクロプラスチックを通じて魚類の体内組織に蓄積した添加剤は、食物連鎖を通じて人間を含む高次消費者の体内に濃縮され、さまざまな悪影響を与える可能性があります。それらの影響を解明するための研究のさらなる進展が期待されます。

 (運営委員 小寺正明) 

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■<2>地域からの報告 和白干潟を守る会代表:山本 廣子さんからの報告
■   <3R政策地域研究会in九州>

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 <和白干潟からの報告(福岡市東区和白)>

 新年おめでとうございます!昨年秋にはコロナ禍でしたが、4年ぶりに「和白干潟まつり」が、開催できました。和白干潟で子どもたちが遊び、鳥たちが休み、穏やかな楽しい一日が過ごせました。バードウオッチングや植物観察、干潟の生きもの観察にもたくさん参加があり、嬉しい限りでした。

 このように日常的に自然の恵みを享受できることは素晴らしいことですが、その自然が私たち人間によって壊されてきています。

 和白干潟は何とか残ったけれども、世界中で干潟は埋め立てられてきました。日本でも戦後4割の干潟が失われました。護岸ではなく、自然海岸が残る干潟は全国で2か所しか無いと言われています。自然海岸があることで、和白干潟は「にほんの里100選」に干潟では唯一指定されました。和白干潟は干潟の周りが重い護岸や道路で埋められていないために、酸素の多い海底湧水が湧いています。沖が人工島で埋められても、この海底湧水が湧いているおかげで、干潟の生きものたちが多く生きられました。 

しかし今、干潟を取りまく周りの家々も皆地面がコンクリートで埋め固められてしまいました。周りに降った雨が地面にしみこまずに、側溝から一挙に流れて行ってしまい、溢れて災害も起こります。周りの地面に雨がしみこまないことで、和白干潟の海底湧水の湧く量が減ってきています。私たち人間の活動で色々問題が起きてきますね。

 和白干潟に川から流れ着くゴミはプラスチックごみや自然ごみ(アシが折れたものやアオサなど)があります。和白干潟を守る会では、毎月クリーン作戦を行っていますが、毎年9月にはJEANの呼びかけで国際ビーチクリーンアップに参加して、ごみデータ調査をしています。昨秋は人工ごみを35種類に分類して集計しました。特に多かったのは、プラスチックごみの「食品の包装・袋」で、その次に多かったのは「ペットボトル」でした。このように私たちは自然を壊したり、海水を汚したり、ごみでいためたりしています。

 年に4回「和白干潟通信」に書いて現状を伝えていますが、あきらめずに活動を続けて行こうと思います。

 http://wajirohigata.sakura.ne.jp/

------------------- 事務局からのお知らせ------------------------------
● 会議開催日程
◎ 運営委員会 :2023年1月24 日(火) 19:30〜21:00・ ZOOM会議
※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。ご不要の方はご連絡ください。

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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
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