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「メールニュース」 バックナンバー

第229号(2021年8月11日発行)

  

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   容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース

        第 229号   2021 年 8 月 11 日

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 今年6月にプラスチック資源循環促進法が制定されましたが、市区町村におもちゃ等の製品プラスチックと一緒に、小規模事業者のプラスチック資源の一括収集を求めることや、使い捨てのスプーンやストローなどを提供する小売店や飲食店への使用削減の義務付け等です。容器包装に留まらない、すべてのプラスチックの資源化・発生抑制が進むことは前進ではありますが、実現に向けての課題も大きいと思われます。

 来年4月の施行に向けて、8月2日、環境省・経産省の第9回合同会議で政省令の検討が始まりました。

資料3 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の政省令・告示の策定に向けた検討事項

 参加の各委員から、政府案について次のような、様々な意見が出されました。
「基本的考え方に、2050年カーボンニュートラル・海洋プラスチック流入ゼロを明記せよ。積極的な対策を望む」
「マイルストーン達成に向けたフォローアップを毎年パブリックに進めよ」「リチウムイオン電池は取り外し容易に」
「リユースが必要、容リ法の政令改正を」「自治体への支援を」「熱回収を明記せよ」等々。 (詳しくは後日環境省HPに掲載される議事録参照)。

 また「衆・参議院の付帯決議をしっかり進めよ」との意見が複数出され、環境省も認識していると答弁しました。

付帯決議には、「・2050年カーボンニュートラルやブルーオーシャンビジョンと整合させ、大幅な削減で前倒しで実現を図り、熱回収の最小化を図ること。・プラスチックに含まれる有害化学物質の成分の表示、・拡大生産者責任の徹底に向けた検討」 なども含まれており、私たち減プラネットメンバーのロビー活動も貢献したと思われます。ぜひとも、しっかり進めてほしいものです。

 参議院付帯決議(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案

 今後の課題としては、新法では欧米の先駆的な取組に比べ、使い捨てプラスチックの使用禁止に踏み込んでいないこと、自治体の負担が重くなり、生産者責任が明確化されていないこと、政策の優先順位があいまいなど、制度強化の必要があります。

  また、新法のもと廃棄物処理行政の抜本的な刷新が余儀なくされるところ、この課題は廃棄物行政を担う自治体に引き継がれることとなります。容器包装プラの分別回収さえ取り組めていない自治体もある現状から、どのようにすべてのプラスチックの収集・回収、資源化を進めていくのか、国の自治体への支援体制は、環境配慮設計と高度リサイクルを繋ぐ生産者(特定事業者)とリサイクル事業者の連携は、など、課題は大きいと思われます。

 これまで日本のプラスチックリサイクルは容器包装リサイクル法(容リ法)によって進められ、容器包装を利用する特定事業者に資源化義務(費用負担)が課せられていましたが、すべてのプラスチックとなると利用事業者数が大幅に増えることとなります。
対象が広がることにより、 容リ法により不十分ながらも導入された拡大生産者責任が後退することなく、徹底されるよう、 今後とも市民の力を結集して、持続可能な循環型社会の実現に向けて、鋭意取り組んでいきます。

(運営委員長 中井八千代)

----- 目 次 --- C o n t e n t s -------------------------------

巻頭言
<1>第八回「プラスチック削減」オンライン連続セミナーを開催します!!
<2>レポート】 既存のリサイクルルートに乗せられないプラスチック素材
<3>東京23区 善財裕美さん からの報告 <台東区の環境教育について>

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■<1>第八回 「プラスチック削減」オンライン連続セミナーを開催します!!
■   講師: 倉坂秀史さん(千葉大学大学院社会科学研究院教授)  

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第7回 8/20 (金) 19:30〜21:00
古澤 康夫さん(東京都環境局資源循環推進部・専門課長)
「ゼロエミッション東京を目指す東京都の資源循環政策」
まだ若干の余裕がありますので、ぜひご参加ください。    
詳しくは下記のちらしをご参照ください。↓
http://www.citizens-i.org/gomi0/pdf/210820.pdf
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 第八回は、千葉大学大学院社会科学研究院教授の倉坂秀史夫さんをお招きし、
「プラスチックの循環的利用に向けた法制度のあり方」と題して講演していただきます。
倉坂先生は、地球温暖化や循環型社会政策の立ち上げ、環境基本法案の立案などにかかわってこられ、全国の自治体の再生可能エネルギー供給量などを推計する「永続地帯研究」を実施された方です。主著に『持続可能性の経済理論』東洋経済新報社等多数。
<トピックス>
・ プラスチック資源循環促進法の評価、
・ 市民案「脱プラスチック戦略推進基本法案」の内容、
・今後のプラスチックの循環的利用に向けて
詳しくは下記のちらしをご覧ください。↓
http://www.citizens-i.org/gomi0/pdf/210913.pdf

第八回 9/13 (月) 19:30〜21:00 倉坂秀史さん(千葉大学大学院社会科学研究院教授)
「プラスチックの循環的利用に向けた法制度のあり方」
参加費無料
▼申込み件名:「第八回プラ削減オンラインセミナー9月13日視聴希望」とし、 氏名、所属、TELを明記の上、  
▼ 申し込み先: reuse@citizens-i.org 迄
※申込後、入力いただいたメールアドレスに、お申込みを受け付けた旨と当日2日前に参加URLをお送りします。 
ぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしております。
▼次回の予定(最終回)
10/○○ 映画「マイクロプラスチック ・ストーリー ぼくらが作る2050年」

(運営委員長 中井八千代)

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■<2>【レポート】既存のリサイクルルートに乗せられないプラスチック素材
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 6月に制定された「プラスチック資源循環法」により、自治体はすべてのプラを容器包装プラ回収ルートで一括回収することになりましたが、このリサイクルルートに乗せられないプラ素材が存在します。それは、生分解性プラとストーンペーパー(石灰石配合プラ)です。

●生分解性プラスチック
 生分解性プラは、微生物の働きによって最終的にはCO2と水にまで分解されるプラです。海洋プラ汚染防止対策として期待されていますが、今のところ海水中では分解されるまでに長い期間がかかり、分解の過程でマイクロプラスチック化してしまうので、海洋プラ汚染防止には役立ちそうもありません。
 生分解性プラの主な用途は、農業用マルチフィルム、燻蒸シート、生ごみ収集袋、レジ袋、食品容器包装、使い捨て用品(カップ、カトラリー、ストロー等)などとなっています。
 生分解性プラのリサイクルについては、耐久性に劣るため、同じものに再生して再利用するのではなく、微生物による土壌中での生分解や、生ごみと一緒の堆肥化やメタン化が想定されています。
 一方、従来のプラのリサイクルでは、生分解性プラが混入すると、再生品の耐久性が低下することから、従来のプラの排出時や選別処理時に生分解性プラは除去する必要があります。だが、生分解性プラは外見からは従来のプラと識別しにくいので(識別マークはあるが)、除去は難しい。
 生分解性プラの従来のプラへの混入を回避するには、生分解性プラの用途を、畑にすき込む農業用マルチフィルムや燻蒸シート、生ごみと一緒に堆肥化・メタン化する生ごみ収集袋など、使用後は生分解される用途にしぼる必要があると考えます。

●ストーンペーパー(石灰石配合プラスチック)
 ストーンペーパーとは、石灰石とプラスチックからなる素材です。(株)TBMが「ライメックス」という商品名で製造販売しています。以下、ライメックスを例に説明します。
 製造方法は、石灰石50%以上とプラ(ポリエチレンやポリプロピレン)をブレンドしたコンパウンドをペレットにします。これを既存のプラ成型機でフィルムや成型品に加工しています。
 ストーンペーパーは、紙とプラの両方の特性を備えており、利点として、紙代替品としては耐水性があること、また、プラ代替品としては、従来のプラと比べて石油由来成分が少ないため、焼却時のCO2排出量が少ないことやコストが安いことをアピールしています。
 主な用途は、紙代替品としては名刺、メニュー表、チラシ、ポスターなど、また、プラ代替品としては食器、アメニティ用品、レジ袋などです。
 紙としてのリサイクルについては、プラそのものなので古紙に混ぜることはできません(禁忌品)。また、プラとしてのリサイクルについては、石灰石を含むため、従来のプラに混ぜるとその再生品の強度が低下することから、従来のプラと混合してリサイクルすることはできません。

 一方、紙や従来のプラのリサイクルでは、排出時や選別処理時にストーンペーパーを除去する必要がありますが、外見からは紙や従来のプラと識別できないので、混入は避けられません。結局、識別できたストーンペーパーを、分別回収する(実施は難しいが)か、焼却処理するしかありません。

(運営委員 小野寺勲)

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■<3> 東京23区 善財裕美さん からの報告 <台東区の環境教育について>
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 地元台東区で次世代に環境問題を伝える学習講座「台東区こども環境委員会」を開始して今年は22年目になります。始めた時はまさかこれほど長く続けるとは考えていませんでしたが、実施を重ねていくうちに、多様に、グローバルに、大きく、深刻さを増してきているため、とてもここで投げ出すわけにはいかないと覚悟して取り組んでいます。

 講座の対象は小学4年?6年生。年間10回の連続講座として実施しています。実施主体は台東区行政と区内環境団体です。10回のうち7回以上参加した子どもには「こども環境委員会 リーダー認定証」を最終回に授与して、以後の活動を促すようにしています。講座を修了した生徒がスタッフとして運営に参加する事も可能で、現在は7年間のスタッフ経験を持つ大学生が運営に参加しています。スタッフとして活動し社会人となった人の中にも就職先に岡山県の山村の会社を選んだ人などもいます。

 プログラムの大きな流れは決まっていますが、夏休み中に実施する調査報告の回は、子どもたちの自由研究にも活かすことができるようその時の話題性も考慮しています。近年はやはりプラスチックに関する調査が多くなっています。

 2019年第20期の報告書を区のHP上で見ることが出来ますので、全体の様子はそちらをご覧下さい。周年事業は荒川クリーンエイドの協力を得て実施しました。
https://www.city.taito.lg.jp/kenchiku/kankyo/kankyogakushu/kodomo/hokokusho.html

 2020年度はCOVID-19の影響で予定した10回中7回しか開催できませんでした。今年度は他の子ども向け講座が軒並み中止となっている中で開催決定をしましたが、参加希望者が通常の3倍近くなり選抜せざるを得ませんでした。人類の活動の拡大とグローバル化が最大の要因である感染症拡大の影響で、未来の大人たちの勉強機会が無くなる事は避けたいので最大限の注意を払って開催を続けています。 11月の回では佐竹さんの映画を見て皆で考えます。政策提言まで持って行ければと思っていますが、どうなりますか・・。                                        
------------------ 事務局からのお知らせ------------------------------

● 会議開催日程
◎ 運営委員会 : 2021年9月7日(火) 19:30〜21:30・ ZOOM会議
※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。
ご不要の方はご連絡ください。

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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
URL : http://www.citizens-i.org/gomi0/
〒 102-0082 東京都千代田区一番町9−7 一番町村上ビル6F
市民 運動全国センター内
TEL/03-3234-3844   FAX/03-3263-9463

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